心理学が心の科学として成立するためには、行動反応の数値化、統計解析といった量的手法の発達が必要でした。 心理物理学測定法が確立され、多変量解析法が考案されることで、言語報告では捉えにくい心の尺度構成が明らかにされてきました。
しかし、ヒトの心を理解するためには質的なアプローチが必要になることも
本ワークショップは、質的/
ワークショップでは最初に、質的/
研究・実践活動に携わっていなくても構いません。
3/7 9:00-12:00
9:00- 開会・企画主旨説明
9:15- 招待講演① 質的研究 / サトウタツヤ 先生(立命館大学)
【質的研究について考える】
この講演では、私がなぜどのように質的アプローチや学融(トランスディシプリナリ)に関心をもったのかについて振り返りながら、「心理学における質と量」「質的研究とは何か」「量的研究と比べたときの質的研究の利点と欠点」「質的研究と量的研究の相補性」などを中心に話をしたいと思います。 また、講演者自身が、なぜどのような動機で新しい方法論であるTEA(複線径路等至性アプローチ)を提唱するに至ったのか、それが現在どのように受け入れれているのか、ということも話したいと思います。 これらの話を通じて、研究(知識生産)をより楽しくするスピリッツや研究仲間の大切さについて共有していただきたいと思います。
10:00- 招待講演② 量的研究 / 長岡千賀 先生(追手門学院大学)
【クライエント-セラピストの関わりに関する定量的分析】
心理療法の対話では,クライエントはセラピストとの対話を通して,新しい視点を獲得し気づきを得る。これを可能にするのは,クライエントとセラピストのどのような関わり方であろうか。また,発達障害を持つ子どもの支援の1つとして行われている作業療法のセラピーでは,子どもの主体性を引き出すことが重視されている。では,子どもの主体性を引き出すことを可能にするのは,どのような関わり方であろうか。こうした疑問からスタートした,心理療法の対話における非言語行動の定量的検討,ならびに,子どもと作業療法士の関わりに関する定量的検討を本発表で紹介する。研究する中で感じた,異分野で連携することの楽しさ,難しさと対策についても紹介する。
10:45- 討論会
11:55- 閉会
・サトウタツヤ 先生 ( 立命館大学 )
URL:
http://www.ritsumei.ac.jp/psy/teacher/sato-tat/ (外部リンク)
サトウ先生は『心理学史』(2011)『学融とモード論の心理学』(2012)『質的心理学の展望』(2013)の著者であり、心理学史、学問のあり方論(科学社会学)、質的アプローチに関して深い見識を持たれております。また日本心理学会の『心理学ワールド』の創刊編集委員のお一人です。その背景には理論や方法論を考えるということ、さらにその背景には研究を楽しくしようとする姿勢があるようです。
本ワークショップでは心理学的研究のあり方について論じていただきつつ、質的アプローチとは何か、その功罪についてご紹介いただきます。
URL: https://researchmap.jp/nagaoka/ (外部リンク)
長岡先生は認知心理学、社会心理学をご専門とされております。研究テーマは多岐に渡り、その中でも、心理療法におけるカウンセラーとクライエントとの相互作用を発話形式を指標として検証するというように、一見すると数字では捉え難い現象に対して定量的アプローチを用いた研究実績を持たれております。
本ワークショップでは長岡先生にご自身の研究をご紹介いただくことで、近年の心理学では当然のように扱われることが多い定量アプローチに関して再考察を行います。